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第14回「フィールドの音を録る」|柳沢英輔さん

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みなさん、こんにちは。柳沢と申します。僕は地域に根付く音の文化を研究しており、現地で音を録音するフィールドレコーディングをもとに研究、作品制作を行ってきました。今日は「フィールドの音を録る」というテーマでお話をさせて頂きます。 まず、簡単に自己紹介をさせて頂きます。大学生の頃にパソコンを使った音楽制作やタイの楽器の演奏をしていて、東南アジアでフィールドワークやフィールド録音がしたいという気持ちから京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科に入学しました。大学院を修了し、ポスドクを経て、2015年から同志社大学で働くことになり、これまで続けてきたベトナム中部高原の山岳民族のゴング文化の研究に加えて、京都など日本の音文化についても調査を始めつつあります。研究手法として、音響・映像メディアを活用したフィールドワーク、つまりフィールドで録音や撮影を行い、記録した音響、映像資料をもとに論文を書いたり、音響・映像作品を制作したりしています。


フィールド録音がどういったものか、ということを紹介します。色々な呼び方がありますが、最近はフィールドレコーディングやフィールド録音という言葉が一般的になってきています。音は鳴った瞬間に消えていきます。フィールドの音を録音するというのは落ちている音を拾い集めるというより、能動的に自分から捕まえにいく、ハントするという感じがあり、サウンドハンティングという呼び方が僕は好きです。フィールドレコーディングというと野外や屋外で行うイメージがあると思うのですが、必ずしもそうではなく、例えばミュージアム内のサウンドスケープを録音したり、料理の音を録って作品化したり、身の回りのすべての音が対象となり、どこでも出来るというところも面白さなのではないかと思います。
フィールド録音の目的ですが、主に3つあります。まず、学術調査です。19世紀、エジソンにより蓄音機ができて、それを使って世界の諸民族の様々な音楽や言語が録音されて、後の言語学、民族音楽学等の基礎的な資料となっていきました。その当時から現在まで、メディアは変わりながらも様々な学術分野でフィールド録音が行われています。
2つ目は、アート実践で、ミュージックコンクレートのように自然音や環境音を編集・加工して楽曲を作ったり、メディアアートの素材として用いるようなことです。また非加工のフィールド録音作品もあります。…

第13回「映像人類学講義 II」|川瀬慈さん

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2016年6月4日に開催されたレクチャー、「映像人類学講義 II ー川瀬慈の世界」の記録を掲載します。自作の上映の後、来場者と白熱した議論が交わされました。前半・後半に分けて配信します。




第12回「映像人類学講義I」|川瀬慈さん

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2016年5月28日に行われたレクチャー、「映像人類学講義Iー新しいナラティブの創造ー世界の動向から」の映像記録を掲載します。前半・後半に分けて配信します。




第11回「地の声、時の音を聞く」|井上博斗さん

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2015年12月5日に行われたレクチャー、「地の声、時の音を聞くー郡上八幡の暮らしとナリワイから」の映像記録を掲載します。桃山晴衣、土取利行の音楽から、身体技法とわらべうたまで、音楽の根源に迫る刺激的なお話です。


井上博斗さんプロフィール:1983年香川県生まれ。2006年に、音楽家・土取利行と桃山晴衣に出会い、両氏が拠点とする郡上八幡に2010年に移住。土地のわらべうた・古謡の伝承をライフワークとしながら、「郡上八幡音楽祭2013, 2015」をプロデュース。現在「町家オイデナーレ2015 in 郡上八幡」(11/21〜23)を企画しながら、郡上八幡音楽祭2016及び2017年に予定されている白山開山1300年祭に向けて準備中。


第10回「石徹白の小水力発電」|平野彰秀さん

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2015年11月7日に開催されたレクチャー、「石徹白の小水力発電ー潜在的な自治のちから」の映像記録を掲載します。なぜいま自然エネルギーなのか?というマクロな視点と、その地の伝統・文化を学びつつ展開されるミクロな試みについて興味深いお話が続きます。

平野彰秀さんプロフィール:1975年生まれ。岐阜県岐阜市出身。東京大学大学院で都市計画を専攻。修了後、商業施設プロデュース会社、外資系経営コンサルティング会社を経て、岐阜市にUターンし中山間地域の地域づくり活動と、自然エネルギー(主に小水力発電)導入の活動を開始。2011年9月、人口300人弱の集落、岐阜県郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)に移住。



第09回「金生山 明星輪寺」|冨田精運さん

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2015年5月29日(金)に岐阜県大垣市赤坂にある、金生山明星輪寺(きんしょうざん みょうじょうりんじ)の15代目住職、冨田精運さんを招いてお話を伺いました。冨田住職は、現在IAMASがあるソフトピア地区が開発された当初にはよくいらしていたそうです。
レクチャー前半では、明星輪寺のもつ魅力や文化的資産をご紹介いただきました。明星輪寺のご本尊である「虚空蔵(こくぞう)さん」が祀られている「岩屋堂」、年初に行われる「初こくぞう」という火渡りの行事。境内の岩石群とそこから市街を見下ろす眺望や珍しい陸貝やヒメボタルのお話。さらに江戸時代から受け継がれている「算額」など、福徳・知恵・技芸の守り尊として、こくぞうさんがいかにこの地に根付き、慕われているかというお話をしていただきました。

後半では、役行者(えんのぎょうじゃ)によって7世紀に創立されたと言われるこのお寺の歴史上における資源的、地政学的な重要性についてお話を伺いました。金生山は名前の由来の通り、鉄(赤鉄鉱)を産出する山であったこと、近くに金山彦命を祀る南宮大社があること、東西の軍事的要所として関ヶ原があることなどから、この地域全体が歴史的な要所として捉えられるとして、冨田住職はそれを確かめるために研究会を立ち上げ、金生山の赤鉄鉱を使って、古代と同じたたら造りによって赤鉄鉱からケラを造る実験もされています。さらに、もともとは宇宙を表す「虚空蔵」も実は地下資源と深く関係しているというお話も金生山のもうひとつの文化的資源である「化石」と合わせて考えてみるととても興味深く感じられました。

現在、金生山では石灰の掘削が進み、山の形も昔とはずいぶん変わってしまったようですが、鉄から石灰へと「資源」と社会の関係性が変化してきたように、21世紀において私たちが何を「資源」と見なし、残していくのかという課題はますます重要になってきているように思われます。おそらく人間の欲望は時代とともに変わっていくものなのかも知れません。その意味で明星輪寺の様々な行事、ヒメボタルと陸貝の生態系、算額などに私たちがこれまでになく心惹かれるとき、それはなんらかの変化の兆しと捉えても良いのではないでしょうか。

そこで「欲望の変化」ということを考えるにあたって、加藤典洋氏の『人類が永遠に続くのではないとしたら』を参照しながら、「できるけどやらない」という自由や力能の…

第08回「えをかくかくかく」|アーサー・ビナードさん

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映像記録で御覧ください。「ことば」は死者との対話から始まったーーしかし現在の私たちの言葉は「広告的」なものに成り果てていないだろうか? 自身が翻訳した画家エリック・カールの絵本『えを かく かく かく』(偕成社)を起点に、現代の言葉、アート、社会について縦横無尽に語っていただきました。



第07回「つくられていく地域」|土川修平さん

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――土川さんが池田町で展開されている活動についていつかじっくりお話を伺いたいと考えていました。今日はこちらでスライドを進めながらお話を伺っていきたいと思います。それでは最初に「土川ガーデン」を始められたきっかけからお話しいただけますか。
土川:はじめまして。だいぶ顔見知りの方もおられて少し話しにくい感じもありますが、よろしくお願いします。土川ガーデンを始めたきっかけはいくつかあるんですけど、教員になって2回目になって赴任したのが郡上北高校で、そのときに同じ職場の人たち何人かが、魚釣りが好きで、ここに土地を買って山荘をつくっていつも集えるような場所にしたいねという話がありました。
私が23歳くらいのときで、今から40年位前ですが、そのときに荘川村の一色というところに土地を買って「ほうば美荘」という山荘をお金を出し合ってつくったんです。そのときのルールは、「出せるだけのお金でいいから出しましょう」というので、たくさん出した人もいますが、ぼくは5万円しか出してないんですが、使用できる権利は同じなんです。それで死んだら権利はなくしましょう、最後一人になってしまったら、そのときは荘川村に寄付しましょうと。そしてそこをなんと名付けたかというと「一色国際自然学研究所」とたいそうな名前をつけて、そこで魚を釣って、お酒を飲んで、中には学位を持った人がいて、昆虫の研究をして論文を書いたりとか、季刊誌をつくったりとかしていました。


やがてぼくが岐阜に転勤してなかなかできなくなってしまって、そんな中でこんなことの続きがやりたいなというのがひとつありました。あとは、ぼくが30代のときに米国のアイオワ州にいく機会がありまして、ホームステイをしたんですけど、1日目に「いいところがあるから連れて行ってあげる」と言われて連れて行かれたのが広大な牧場で、そこでみんながいろんなものを持ち寄りながら、納屋ではバンドの演奏をしたり、野外パーティがあったり、その雰囲気がとってもよくて、いつかこんなことが出来るといいな、という思いもありました。
――(スライド)これが、今年4月のIAMASのモチーフワークで土川ガーデンを訪れた様子ですね。そしてこれがそこで栽培されているブルーベリーですね。なぜ、ブルーベリーを栽培することにしたんですか。
土川:ご存知だと思いますが、ブルーベリーっていっぺんにならないで順番に実っていきま…